最初は短調でも最後には長調で終わる曲は
バロック時代の作品の頃からありました。
例えば、J.S.バッハの「小フーガト短調」は
一番最後はト長調の和音で終わっています。
それが発展していって、やがて管弦楽の曲にも
この方法が使われるようになっていきます。
例えばベートーヴェンの「運命」では
最初はハ短調で始まりますが、
第3楽章の終わりからハ長調になります。
それまでは暗くてじめじめしていて押しつぶされていたけれども、
長調に変わることで支配から解放されて
勝利の讃歌を歌い上げているイメージがありませんか?
私は小学校の時からバロック作品が苦手で、
中学校に入ってからようやく「暗から明になる曲がある」
ということに気づいたのです。
その曲はJ.S.バッハの「3声のインヴェンション」という本で
13番目に収められているイ短調の曲でした。
(この曲集はハからロまで順番に全15曲からなっており、
ピアノを習う人間ならばみんな必ず通る)
その曲が私の当たり曲だったらしく
それ以後もフーガを練習する時は
この曲がお手本となったのです。
管弦楽に転向した現在も、短調から始まって
長調で終わる曲を練習していると
必ずこのエピソードを思い出します。 |
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