営業のお仕事をなさっている方ならば
取引先で新商品のプレゼンテーションをなさる
機会が多くあろうかと思います。
高校・大学の推薦入試や会社の入社試験でも
プレゼンテーション形式の試験が増えているそうです。
プレゼンテーションといえば
言葉と図面のイメージが強いでしょうが、
音楽や絵画やお芝居も自分を表現し、
世に送り出すという面では変わらないので
立派なプレゼンテーションだと思います。
これを200年前にやってのけた人がいました。
今年没後200年、「驚愕」や弦楽四重奏曲「皇帝」など
有名な曲をたくさん残したハイドンです。
77年の生涯で作曲された交響曲は100曲以上、
弦楽四重奏曲は83曲、これだけでもかなりの数です。
今年のニューイ
ヤーコンサートで演奏された
交響曲第45番「告別」という曲は、
エルテハージ候の下で楽団の指揮者をしていたハイドンが
長い間家に帰れずに不満をもらす団員たちのために
侯爵を説得するために行ったプレゼンテーションだったのです。
初演の日、彼は演奏が終わった奏者から舞台を去らせ、
指揮者とコンサートマスターだけが最後まで舞台に残る
という作戦を実行したのでした。
団員を巻き込んだプレゼンテーションは成功し、
侯爵は団員たちが家に帰ることを許したそうです。
ニューイ
ヤーコンサートでは、クラリネット奏者が
去り際に髭男爵の「ルネッサーンス!」
をされていたのが印象に残っています。
それから200年、いまやプレゼンテーションは商売道具扱い。
目先の利益に走る世の中になりました。
プレゼンテーションが単に商売道具に終わることなく、
自分を表現する手段として認識される世の中になるのも
そう時間はかからない、そう思います。