『ドナウよ、静かに流れよ』 大崎善生 [2007年08月30日(木)]
この事件、私は知らなかったのだけど、大崎さんがこの事件に惹かれた理由が何となくわかるような気がします。
この『ドナウよ、静かに流れよ』はノンフィクションで、2001年8月15日付けの朝日新聞朝刊の「見過ごしてしまいそうな小さな記事」を大崎さんが見つけたところから始まります。
〈邦人男女、ドナウで心中
33歳指揮者と19歳女子大生 ウィーン〉
この事件を彼が調べ始めてすぐ、19歳女子大生は棋士の渡辺マリアさんの娘だということがわかります。
大崎さんと渡辺さんの将棋つながりが、大崎さんをさらに引きつけます。
女子大生、日実(カミ)さんのお父さん渡辺正臣さんは、東北芸術工科大学の教授であり、「いいちこ」などののCM制作プロデューサーです。
日実さんの両親とのやりとり、日実さんと両親、友人、知人などのメール、FAXをはじめ、大崎さんが調べていく中でわかったりわからなくなったりすることが、とても細かく丁寧に、大崎さんの口調で語られています。
何不自由なくのびのび成長したであろう日実さんの心中までの経緯で、彼女の素直で純粋なところ、とても愛らしいところ、彼女の悩みや苦悩が、大崎さんの口調で浮き彫りになっていき、読んでいて痛々しかったり、残念でならなかったり、かわいそうに思ったりしました。
そして、19歳という若さで人を愛し、その思いを貫いた強さには感動しました。
大崎さんの作品は、『アジアンタムブルー』『パイロットフィッシュ』『九月の四分の一』なども読みましたが、『ドナウよ、静かに流れよ』の取材で訪れたところやものが所々に現れます。
いろいろな思いを重ねて、見て、そして書いている、作家としての大崎さんにも感動しました。
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『ドナウよ、静かに流れよ』に続いてまたまた大崎善生さんの小説を読みました。
写真は、文庫本の方ですが、「孤独か、それに等しいもの」を含む短編集です。
タイトルもトーンが低いのですが、どの短編も人の死や、別れを含む寂しくて悲しいストーリーでした。... [ReadMore]
大崎さんの作品は、何気なくさらりとしてるのに、冷たい感じではなく、とても優しいものばかりです。
邦人男女、ドナウで心中
33歳指揮者と19歳女子大生 は
二人に何があったんだろうと読んだ記憶があります
大崎さんの作品は
アジアンタムブルーのタイトルに惹かれながら
(アジアンタムが好きなので)
手に取っただけでまだ読んだ事がありません
ムスメも帰るのでやっと時間が出来そう
読みたいリストに入れたいと思います