『スワンソング』大崎善生 [2009年01月26日(月)]
読み始めて間もなく、「私はやっぱりこの人好きだなぁ」と改めて実感しました。
優しい。とことん。その優しさが仇になるほど優しい。
よく考える人。考えすぎるほど考えて、答えを出そうとする姿が悩ましいと思えるくらい、考える。
時々、「あなたがモタモタしてるからそうなるじゃないの〜!」と言いたくなるところがあるけど、決してモタモタしているわけではなく、耐えているのです、じっと。
ドッシリとしているわけではないけど、静かで、平穏な心の持ち主なんだろうな。主人公も大崎善生さんも。
結婚目前の同じ職場の彼女がいながら、同じ職場にアルバイトとして勤めている後輩と恋に落ちてしまう。
3年付き合い結婚目前の彼女は、上司に頼られ、後輩に慕われる、東京都出身の優秀で完璧な女性。
後輩は長野県出身の素朴で明るく健康的なキャラ。
新しい恋人は職場では先輩にあたる元恋人との関係などに悩み、鬱状態になってしまい、元恋人も失恋の痛手を引きづり心が壊れていく。
あちら立てればこちら立たずの状態で、彼が選んだ道は!というお話です。
最後の方に、長崎新聞、函館新聞、他数社に『摘蕾の果て』として随時掲載されたものとありました。
摘蕾(てきらい)とは、あまり出来の良くない花の蕾は切り落としてしまい、翌年、よりよい花を咲かせるための栄養を株に残しておくことです。
物語にも「摘蕾」がキーワードのように出てきます。
よりより花を咲かせるためには、蕾を切り落とすことも必要。残酷なようで、正しい方法。
せつないお話です。
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まだ、表題作しか読んでいないのですが、すごく泣いちゃいました。
もともと大崎善生さんが大好きですが、ますます好きになりました。
棋士の奥さんのファンである9歳の病気を抱えた少年とその両親。
彼らと奥さんの交流のを描いたものなのですが、その... [ReadMore]
そして、私の好きな大崎善生さんらしい小説です。
もし、もう少し明るめの大崎さんに興味があるのなら、『パイロットフィッシュ』をお勧めします。
『スワンソング』は『アジアンタムブルー』よりも切ない気持ちになりました。
トラックバックにここ2年くらいで私が読んだ、他の大崎さんの小説を紹介した記事を載せるので、興味がわいたら、是非大崎さんの小説を読んでみてください。
読んだ記憶があります。
かなり切ない気持を抱いたような