★★ テレビで人気の そのあとは・・・ ★★★
犬や猫だけでなく、今やいろんな動物が
テレビの情報番組やインターネットを通じて
紹介されています。
紹介されるとブームになることもあり、
人気に火が付いた動物は、一躍有名に。
飼う人が増えたり、DVDや写真集などが
発売されたり。
たちまち人間の経済活動の波に乗ってしまいます。
しかし、ブームが去ったそのあとは、どうでしょう?
今回はそんなことを、ちょっぴり考えてみようと思います。
〜★ かわいいのは一瞬だった ★〜
この記事を読んでいただいている人の多くは、
1970年代後半にテレビ番組の世界名作劇場で
放映された「あらいぐまラスカル」をご存知だと思います。
この物語は作者の実体験を通して、少年とアライグマの
友情物語をテーマとしているように思えますが、実は、
自然と人間の共存の難しさにふれたアニメでした。
しかし放映が始まった日本では、
北米からアライグマが
ペットとして持ち込まれます。
そして、テレビを見た人が、アライグマを飼い始めました。
しかし。
アライグマがかわいいのは、小さい頃のほんの一瞬。
大きくなるとその凶暴性を発揮し、
手に負えなくなった人々は、
テレビで主人公の少年がラスカルを山に帰したように、
アライグマを山に捨てました。
そして現在。アライグマは、
在来種にとっての驚異であるばかりか、
農作物や文化財に甚大な被害を及ぼす存在に
なっています。
20世紀後半には
その被害と対策が叫ばれていたにもかかわらず、
政府や自治体が重い腰を上げぬまま
いたずらに時が過ぎ、気付けばその被害は、
日本全土へ拡大。
平成5年に東京、北海道、愛知など
5都道府県だった被害報告は、
そのわずか10年後、
平成15年になると41都道府県に拡大。
その後も増え続け、
平成20年には、ついに全都道府県で
確認されるまでになってしまいました。
農作物への被害を数字で見てみると、
平成18年度のアライグマによる農産物被害は
全国で約1億6000万円、これは、
平成14年度と比較して約2倍。
それだけではありません。 京都の社寺では、
国宝や重要文化財までが被害に遭っています。
〜★ かわいさ余って・・・ ★〜
さて、ここまで被害が深刻になってきて初めて、
全国の自治体のなかにも、
対策に乗り出すところが現れ始めています。
対策の最終目標は、完全駆除。
なぜ駆除しなければならないのか?
それは、
そもそも日本にいない生物であるアライグマが、
在来の生態系を破壊していくからです。
アライグマは雑食性。
野菜も食べれば果物も食べる。
魚やニワトリだって食べる。
犬や猫が襲われたという報告も各地で出ています。
『 人間のエゴのために連れてこられ、
そして、捨てられたアライグマ。
彼らには恐らく、罪はありません。 』
なのに、置かれている立場は、
まさに「かわいさ余って憎さ百倍」
ただ、問題が深刻化の一途を
辿っているのも事実。
国内の野生アライグマに
高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)の
感染歴があったことも昨年分かりました。
放っておいた結果、人間の生活を
脅かす存在にまでなってしまったアライグマ。
悲しい話ですが、駆除するしかないのです。
『 人間が持ってきて、
好き勝手に人間社会に取り込み、そして捨て、
人間に害を与える存在になったがために駆除。 』
ペットとして多く飼われている犬や猫にも、
同じ事があてはまると思いませんか?
飼ってみて、手に負えなくなったから捨てて、
野良犬や野良猫が増えすぎたからと対策を講じる。
保護された犬や猫は、
ほんの一部だけが次の生活を見つけることができ、
多くは処分されている現実。
『 生きる権利、共に暮らす責任、
そんなことを、もっともっと考えていく必要がある。 』
アライグマの事例を通して、強く思うのでした。
「
ペットと共に生きること」 より