つい先日のことですが、医療関係者の間で、
「健康的に体重を増やすにはどうすればいいのか?」
という疑問についての議論がありました。
最近は、生活習慣病やメタボリック症候群など、肥満に関連する病態が取り上げられることが多く、
「どうすれば無理なく体重を減らせるか」、ということが話題になります。
一方、慢性消耗性疾患では、「低体重(痩せすぎ)」が問題になることがあります。
また、もともと太りにくい(「痩せの大食い」のような)体質をもっている場合には、どうすれば太れるのか、ということが悩みという方もおられます。
今回、議論となった発端は、ある医療関係者から
「クライエントの一人が、主治医から『チョコレートやバナナ、ナッツ類は内臓によくないから、ドーナツなどを食べて体重を増やすように』といわれたようだが、ドーナツを勧めることはことできないので、適切な食事のアドバイスを」
という質問が寄せられたことでした。
(いつもは、体重を減らすための指導をしているので、逆のパターンの食事療法については詳しくないのでアドバイスを、とのことでした。)
体重を増やすためとはいえ、やはり、ドーナツなどのスナック類・単純炭水化物を推奨することは、私もありません。
低体重(痩せすぎ)で、体重を増やす必要があるしても、
カロリーがあるというだけで、栄養素のない、いわゆる「エンプティ・カロリー(空っぽのカロリー)」の食品を勧めることは、通常は考えられません。
ナッツ類やドライ・フルーツなどは、体重を増やすために、間食としても勧められます。
しかし、いわゆるジャンクフードやスナック類は、推奨されません。
体重を増やすために、摂取カロリーを多くするには、脂質も上手に摂ることが大切です。
脂質は、1gあたり9キロカロリーあります。
炭水化物やタンパク質は1gあたり4キロカロリーですから、カロリーを効率よく摂るには、脂質を利用するのが便利といえます。
このとき、注意したいのは、同じ脂質でも、「体に良い油」と、「良くない油」がある、という点です。
一般的には、動物性の脂質よりは、植物性の脂質が推奨されます。
ただし、植物性でも、リノール酸など特定の脂質にかたよるのは好ましくありません。
また、魚類に含まれるオメガ3系脂肪酸は、からだの機能に良い影響をもたらします。
(なお、どのような種類の脂質を、どの比率で摂るのがいいのか、という点については、現在でも専門家の間で議論があります。)
具体的には、ナッツ類、アボガド、オリーブオイルなども良い脂質であり、バランスよく摂ることが大切です。
良質のタンパク源を用いた料理、野菜サラダなどに、オリーブオイルをうまく合わせることで、バランスよくカロリーを高めにできます。
健康的に体重を増やす食事への応用として、例えば、次のような食材があげられます。
・野菜/パスタ/パンへの
オリーブオイルのトッピング
・果物+ヨーグルト
・ナッツ類や豆類
・アボガド
・チーズ
・ドライフルーツ
・ダークチョコレート
これらの食材は、「体重を増やそう」とする場合だけではなく、「何を食べても太らない」という体質の場合も、健康を維持するために上手に利用できると思います。
非常に参考になりました。
蒲原先生は何ベジタリアンなのでしょうか?