今日は読書感想文です
ブッダの集中力/アルボムッレ・スマナサーラ著/サンガ新書
「集中力」っていいものだと単純に思っていたのですが、
仏教で言うところの集中力にはいろんな種類があるのだそう。
1.生きるためや家族を守るために生じる、「
本能」に基づく集中力。
2.怒りや憎しみ、欲などの「
感情」に基づく集中力。
そして、
3.こころが成長するために必要な「
理性」に基づく集中力。
1の集中力は、生き物すべてにある先天的な集中力。
野生の動物が獲物にロックオンするときの集中力、あれがそうなんですって。
本能的に備わっているため、マインドコントロールされやすいのだそう。
家族を思う集中力を悪用した例として、オレオレ詐欺があげられていました。
2の集中力も、感情をエネルギー源にしているため、
不安定になりやすい、長期的には悪結果を導く、と説明されています。
よい感情からスタートした慈善活動なども、
感情がからんでくるとがむしゃらに活動したくなり、
自分でも気づかないうちに攻撃態勢になってしまうと、例にあげられています。
そこで、3の「理性」による集中力を育てることを薦めています。
理性による集中力のいいところは、
対象や行為に依存しない楽しみを得られるところだそう。
私の経験では、
欲しくてたまらなかった
化粧品を手に入れた瞬間はものすごく嬉しい

けれども、
すぐに冷める、というか飽きる、というか。
テンションが下がってしまう

というのがあるのですが、
これが恐らく対象に依存した楽しみなんでしょうね。
モノや行為で得られる楽しみは、「たかがしれている」、と。
「じゃあ理性による集中力ってどんなんさ?」
と問いに対する答えは、
「能率を気にせずに、すべてのことを楽しんでやること」
とありました。
楽しいから集中する、のではなく
集中するために楽しむ、といったところでしょうか。
その心境に至るためには、
こころの汚れを落とす工夫が必要なんだとか。
勝手に走り回っているこころをいったんストップさせて
訓練(瞑想)するとよいのだそう。
紹介されている瞑想は、
修行にイメージされる苦行ではなく、
日常の考え方、基本姿勢についての知恵、と解釈しました。
喩えが多く、表現もわかりやすいのでオススメです。