今月の英国医学ジャーナルに、食事由来の糖質の摂取と体重との関連についてのメタ解析が、ニュージーランドのグループ(University of Otago)から報告されていました。
(
BMJ. 2012 Jan 15;346:e7492.)
ダイエット(減量)には、三大栄養素のバランスと質が重要です。
一般には、低脂肪低カロリー食が推奨されますが、個人の体質や継続性を考える際には、糖質制限食/低炭水化物食も選択肢の一つです。
また、高タンパク低カロリーの置き換え食については、減量の効果が裏付けられています。
近年、肥満の予防や改善、2型糖尿病における血糖コントロールに対して、従来の標準治療である低脂肪食低カロリー食よりも、低炭水化物食(ローカーボ、糖質制限食)の有用性が示されており、一定のエビデンスを持つ食事療法の選択肢として認識されています。
さて、今回の研究では、
成人および小児において、
食事からの糖質摂取と、体重との相関が検証されました。
具体的には、
2011年12月までの主要データベースから
(OVID Medline, Embase, PubMed, Cumulative Index to Nursing and Allied Health Literature, Scopus, Web of Science)
ランダム化比較試験および前向きコホート研究から系統レビュー・メタ解析が行われています。
食事や飲料からの糖質摂取量と体組成や体重が測定された試験で、
介入試験では2週間以上、
コホート研究では1年間以上
を条件とした結果、
7,895試験から30報、
9,445コホート研究から38報
が抽出されました。
解析の結果、
糖質の摂取が減少すると、体重も減少するという有意な相関が認められました。
(0.80 kg, 95% CI 0.39 to 1.21; P<0.001)
同様に、
糖質の摂取が増加すると体重も増加していました。
(0.75 kg, 0.30 to 1.19; P=0.001)
小児を対象にした介入試験では、
糖質含有の多い食事や飲料の摂取を減らすという療法に対しての遵守率が低く、体重での有意差は見出されていません。
しかし、1年間の前向きコホート研究では、
糖質の摂取量が少なかった群に比べて、
摂取量が多かった群では、肥満や過体重となるリスクが有意に効率となっています。
(55%リスク増加。)
以上のデータから、
糖質の摂取が多いと、肥満や過体重のリスクになると考えられます。
一般に、肥満や2型糖尿病に対する食事療法では、低脂肪食が推奨されます。
一方、アトキンスやサウスビーチなどに代表されるダイエット法では、低炭水化物食が推奨されてきました。
(80年代から90年代に流行した低炭水化物食は、エネルギー比で40%ほどに抑えるという食事方法です。これに対して、一般的な食事ガイドラインでは、炭水化物のエネルギー比は55%〜60%が適切とされています。)
近年、
糖尿病治療では、糖質制限食が選択肢の一つとして、日米で認められつつあります。
(一般に、炭水化物=糖質+食物繊維です。
ただし、食物繊維は、低炭水化物食/糖質制限食では、炭水化物/糖質としてカウントはしていません。
肥満治療では、低炭水化物/ローカーボという表現が使われています。一方、糖尿病治療では、糖質制限という表現が多いようです。どちらも同じ概念です。)
医学医療の世界では、炭水化物を制限する食事療法は、ながらく否定されてきました。
特に、2000年代に入って、ニューアトキンスとして、超低炭水化物食が提唱されると、メインストリームの医学医療界からは、不適切なダイエット法の典型のように攻撃されています。
(超低炭水化物食では、炭水化物の摂取をエネルギー比で5%ほどに抑えます。)
しかし、この10年ほどの間に、低炭水化物食および超低炭水化物食(炭水化物制限食)が、従来の低脂肪食よりも優れた減量効果を示す、という臨床研究(ランダム化比較試験)が、数多く報告されています。
エビデンスが出ているにもかかわらず、炭水化物制限食・低炭水化物食・超低炭水化物食に対する医学界からの批判は大きいのですが、低脂肪食で十分な効果が得られない肥満者や糖尿病予備軍の人がたくさんいるという事実があります。
したがって、
基礎疾患のない肥満者や糖尿病予備軍の人に対しては、
数ヶ月から1年ほど、炭水化物制限食を試みる価値は十分にあると考えます。
(エビデンスがあるのに批判されるという状況は、サプリメント・健康食品も同じです。
一定のエビデンスが構築されているのに、積極的に評価していこうとする医療者は、残念ながら少数派でしょう。
現在の医学医療のビジネスモデルが、基本的には、病人が増えることで儲かる仕組みになっているので、仕方ありませんが。)
最近の研究では、低炭水化物食・炭水化物制限食が有効な人、低脂肪職が有効な人の違いを示唆するデータもあります。
要するに、一律に、低脂肪食、あるいは低炭水化物食というのではなく、その人の体質にあった、テイラーメイドの食事療法を行うことがポイントです。
炭水化物を極端に減らす食事では、結果的に、脂質とタンパク質が多くなるため、体にいい脂肪と植物性タンパク質を多くするなどの工夫も必要でしょう。
同じ炭水化物でも、消化吸収されやすい単純炭水化物は特に禁物です。
DHCの製品で、低炭水化物食・低GI食・低GL食に相当するのは、
DHCプロティンダイエット
です。
また、低GI食、低GL食として、
発芽玄米、
米こんにゃく、
があります。
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