今月のアレルギー免疫研究の専門ジャーナルに、アトピー性皮膚炎の小児において、ビタミンDサプリメント投与による免疫調節作用を示した臨床研究が、イタリアのグループ(University of Chieti)から報告されていました。
(
Int Arch Allergy Immunol. 2015 Mar 13;166(2):91-96)
ビタミンDは、免疫調節作用や抗炎症作用を有しており、健康保持や疾病予防に重要な役割を果たしています。
現在、多くの生活習慣病や慢性消耗性疾患において、ビタミンD不足が見出されており、ビタミンDサプリメントの利用が推奨されています。
(この場合の摂取量は、単に欠乏症を防ぐための量ではなくて、ある程度の用量を想定しています。
具体的には1日あたり1,000 IU〜4,000 IUあたりです。)
さて、今回の研究では、
アトピー性皮膚炎の小児におけるビタミンDサプリメント投与の働きが検証されました。
具体的には、
アトピー性皮膚炎の小児39名と
アレルギー性疾患のない健常対照群の小児20名
を対象に、
1日あたり1,000 IUのビタミンDが、3ヶ月間、経口投与され、
血中ビタミンD値が測定され、
アトピー性皮膚炎のスコアによる評価、
(SCORAD index)
各種サイトカイン類の血中濃度の測定、
(IL-2, IL-4, IL-6, IFN-γ, TNF-α)
などが調べられています。
解析の結果、
試験開始/投与前の時点では、
アトピー性皮膚炎患者では、
健常対象者に比べて、
TNF-α以外のサイトカイン類がすべて高値であり、正常範囲を超えていました。
3ヶ月間のビタミンDサプリメント(1,000 IU)投与後、
アトピー性皮膚炎の小児群では、
ビタミンD値が有意に増加していました。
(from 22.97 ± 8.03 to 29.41 ± 10.73 ng/ml; p = 0.01)
また、このとき、
SCORAD indexは、有意に減少(改善)していました。
(46.13 ± 15.68 at the first visit vs. 22.57 ± 15.28 at the second visit; p < 0.001)
さらに、
サイトカイン類も有意な減少(改善)を示しています。
(IL-2, IL-4, IL-6, IFN-γ)
以上のデータから、
アトピー性皮膚炎の小児において、
ビタミンDサプリメント投与による免疫調節作用、アトピー性皮膚炎の症状改善作用が示唆されます。
近年、ビタミンDは、骨の健康維持だけではなく、免疫調節作用や抗がん作用など、多彩な効果が示されています。
一般に、
健康保持や疾病予防、ヘルシーエイジングを目的としたビタミンD3サプリメントは、
1日あたり
25マイクログラム(1,000 IU)から、50マイクログラム(2,000 IU)が推奨されます
ビタミンD3サプリメントは、安全性、有効性、経済性に優れていますので、健康保持や疾病予防、あるいは多くの疾患での栄養状態を改善する前提条件に、ベーシックサプリメントとして広く利用されることが推奨できます。
多くの生活習慣病や慢性疾患、難治性疾患の患者群において、ビタミンD低値が示されており、ビタミンDサプリメントの臨床的意義が注目されています。
米国での関連学会は、下記の推奨をしています。
米国老年医学会は、1日あたり4,000 IUを推奨
米国老年医学会(AGS)では、高齢者における転倒や骨折を予防するために、血中ビタミンD値(25OH-D)が30 ng/mL (75 nmol/L)は必要としています。
そして、ビタミンDの推奨量は、1日あたり4,000 IUとしています。
(これは、食事、サプリメント、日光暴露による総量です。
なお、この量は、現実的には食事のみからでは不可能であるため、サプリメントを利用することになります。)
米国内分泌学会は、1日あたり1,500 IU〜2,000 IUを推奨
米国内分泌学会のガイドラインでは、1日あたりの所要を男女とも年齢によって、次の3段階に分けています。
1歳未満の乳児は400〜1,000 IU、
1歳〜18歳では600〜1,000 IU、
19歳以上では1,500 IU〜2,000 IU
サプリメントでは、ビタミンD3が用いられます。
日本からの報告では、
ビタミンDサプリメントのインフルエンザ予防効果
が知られています。
また、さまざまな生活習慣病では、血中ビタミンD値が低いことが知られており、健康保持や疾病予防のために、ビタミンDサプリメントの摂取が推奨されます。
(欠乏症の予防ということでは通常の食事からでも補えますが、疾病予防という目的では、1日あたり1,000〜2,000
IUの摂取が必要であり、サプリメントを利用することになります。)
今日では、ビタミンD欠乏症の典型例のような疾患は少ない一方、血中ビタミンDの低値が広く認められることから、生活習慣病の予防やアンチエイジングを目的としたビタミンDサプリメントの利用が推奨されます。
日本人の間でも、ビタミンDの潜在的不足/欠乏が顕著になっています。
たとえば、
日本人妊婦の90%がビタミンD不足、
血中ビタミンD値が高いと大腸腺腫リスクが低い
というデータがあります。
DHCでは、
ビタミンD3サプリメントを製品化しています。
ビタミンDサプリメントに対する効果には個人差がありますが、
臨床的には、ビタミンDサプリメントを1,000 IU/日の用量で投与すると、血中25ヒドロキシビタミンD値が10ng/mL増加する、
という報告もあります。
マルチビタミンのビタミンDはRDAのための設定ですので、別途、ビタミンDサプリメントの利用となります。
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