DHCでは「フォースコリー」の安全性を確認した臨床研究を実施していますので、ご紹介いたします。
(UMIN000008224)
【研究の背景】
「フォースコリー」(学名コレウス・フォルスコリ
Coleus forskohlii)は、南アジアに自生するシソ科の植物です。
インドなど現地では、食経験の豊富な食材として用いられています。
主な成分として、ジテルペン類のフォルスコリンforskolinが含まれています。
フォルスコリンには脂肪分解促進作用があり、米国や本邦では、コレウス・フォルスコリ抽出物が体重調節のための機能性食品成分として利用されています。
(弊社では「フォースコリー」です。)
(なお、有効成分は、フォルスコリンだけではありません。
一般に、ハーブの特徴として、単一の成分だけではなく、さまざまな機能性成分が働いています)。
これまでの複数の臨床研究において、コレウス・フォルスコリ抽出物(サプリメント)による減量作用や高血圧改善作用が示されています。
今回、私たちは、コレウス・フォルスコリの安全性を検証する目的で、健常者(20〜40歳代の男女)29名を対象に、1ヶ月間のオープンラベル漸増試験を実施しました。
【対象】
20〜40歳代の健康な男女29名。
男性9名(平均年齢36.2歳)、女性20名(平均年齢30.2歳)。
【方法】
コレウス・フォルスコリ抽出物含有食品として、「フォースコリー」(ディーエイチシー)を用いました。
フォースコリーは、1日あたりの摂取目安量が2粒〜4粒であり、1粒あたりコレウス・フォルスコリエキス末(フォルスコリン10%)を250mg含有する健康食品です
今回の臨床試験では、
1週間のwash-out後、
第1週目にフォースコリーを1粒(250mg/日)、
第2週目に2粒(500mg/日)、
第3週目に3粒(750mg/日)、
第4週目に4粒(1,000mg/日)と漸増投与しました。
(単群非ランダム化オープンラベル漸増試験)
【試験の結果】
被験者29名全員が試験を完了しました。
主アウトカムは、有害事象です。
(「有害事象」とは、因果関係を問わない体調不良をすべて含みます。
したがって、「副作用」とは異なります。
特定の医薬品の摂取との因果関係が存在すれば、薬剤による副作用となります。)
まず、因果関係が否定できない有害事象は、29名中11名(37.9%)で見出されました。
これらの有害事象はすべて消化器症状です。
具体的には、軟便、下痢、鼓腸でした。
(28日間の試験期間中、1回でも消化器症状があれば、その被験者も数にカウントしています。
今回は、軟便や下痢という非特異的な消化器症状をすべて数えていますので、数が多くなっています。)
なお、下痢の程度および頻度はさまざまであり、症状の程度における用量依存性は明確ではありませんでした。
次に、
消化器症状を示した被験者の人数(割合)を、フォースコリー摂取量別に調べたところ、
第1週から第4週を通じて、被験者29名中、6名(20.7%)あるいは7名(24.1%)でした。
(具体的には、6名(=第1週、3週、4週)あるいは7名(第2週)でした。)
つまり、週別・各用量別に見たとき、消化器症状を訴えた被験者の数は、摂取粒数が増えても、有意な変化は示していません。
また、被験者延日数における消化器症状の認められた日数(割合)は、第1週10.3%、第2週12.3%、第3週14.3%、第4週15.8%でした。
延日数でみると、摂取粒数が増えるにしたがって、消化器症状の割合(日数/件数)は、漸増しています。
なお、軟便・下痢・鼓腸といったこれらの有害事象は、
試験期間中(継続中)に消失・自然軽快、あるいは、漸増試験終了後数日以内に消失・自然軽快の経過となりました。
その他、被験者29名中10名(BMIの大きいほうから男女各5名を対象)では、
フォースコリー投与の前後で医療機関を受診し、採血、採尿、検便を実施しました。
そして、理学的所見、心電図、血液生化学所見(肝機能や腎機能、糖代謝・脂質代謝など)、尿検査、便検査、甲状腺ホルモン検査といった測定・解析を行った結果、
いずれの項目でも、有意な変化は認められていません。
【考察】
今回、コレウス・フォルスコリエキス末の安全性を検証する目的で、標準的な投与量を目安に、「フォースコリー」の漸増試験を実施しました。
本試験で認められた有害事象は、すべて消化器症状であり、具体的には、軟便、下痢、鼓腸でした。
下痢の程度および頻度はさまざまであり、症状の程度における用量依存性は明確ではありませんでした。
例えば、
・第1週(250mg/日)と第2週(500mg/日)に下痢を認めたが、第3週(750mg/日)および第4週(1,000mg/日)では認めなかったという被験者、
・第2週のみに認めた被験者、
・第2週と第4週に認めた被験者
などが見出されました。
また、
・試験期間の4週間を通じて、軟便傾向にあったが、その程度に変化はなかったという被験者、
・試験期間を通じて、消化器症状など有害事象は一切認められなかった被験者も示されています。
このことから、
消化器症状の発現の有無は、個人の体質や体調によるところが大きいと考えられます。
また、
消化器症状の発現と体重の変化との間に相関は認められませんでした。
したがって、コレウス・フォルスコリエキスによる体重および体脂肪の減少効果は、軟便や下痢といった消化器系への作用とは別の作用部位における機序と考えられました。
消化器症状を示した被験者の人数(割合)は、第1週から第4週を通じて、被験者29名中、6名あるいは7名であり、用量の漸増による人数の変化は認められていません。
しかし、被験者延日数における消化器症状の認められた日数(割合)は、第1週10.3%、第2週12.3%、第3週14.3%、第4週15.8%であり、漸増傾向・用量依存性が示唆されました。
軟便や下痢といった消化器症状の有害事象は、試験期間中(継続中)に消失・自然軽快、あるいは、漸増試験終了後、数日以内に消失・自然軽快の経過となっています。
なお、今回の漸増試験で認められた消化器症状は、軟便、下痢、鼓腸のみであり、いずれも軽度でした。
(
腹痛や下血、イレウスなどは認められていません。また、消化器症状以外の症状は認められていません。)
【まとめ】
コレウス・フォルスコリ(学名
Coleus forskohlii)抽出物の安全性検証を検証する目的で、「フォースコリー」を用いた漸増試験を行いました。
フォースコリーの摂取時には、各自の体質や体調における個人差によって、軽度の消化器症状が生じうることが示唆されました。
したがって、コレウス・フォルスコリ含有食品の摂取時には、
最初から、最大の摂取目安量(4粒)を、一度にまとめて摂るのではなく、
少量(1粒あるいは2粒)から開始して、各自の体質に合っているかどうか、確認しながら上手に利用することが好ましいと考えます。
(「フォースコリー」のパッケージには、
※過剰摂取を避け、1日の摂取目安量を超えないようにお召し上がりください。
※一度にたくさん摂りすぎると、お腹がゆるくなることがあります。少なめの粒数から始め、体調に合わせて摂取量を増やしてください。
※妊娠中はお控えください。
※原材料をご確認の上、食品アレルギーのある方はお召し上がりにならないでください。
と記載されています。)
コレウス・フォルスコリは、食経験が豊富な食材であり、安全性が高く、今後、機能性食品成分として、臨床的意義の検討が期待されます。
臨床的意義として、例えば、体重調節作用以外に、整腸作用・便秘改善作用という用い方も考えられます。
(なお、私たちが行ってきたこれまでの2つの臨床研究では、緩下作用と体重減少作用との間に相関は見出されていません。
つまり、「おなかが緩くなるから体重が見かけ上、減少する」のではなく、フォースコリーの標的組織が、体脂肪組織と消化管とそれぞれ異なって存在することによる、と考えています。
詳細な作用機序については、さらに検証が必要です。)
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