サプリ研究の第一人者、蒲原先生の公式ブログです。

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最新記事
食物繊維1グラム摂取による医療費の削減効果 [2015年12月27日(日)]
今月の栄養学の専門ジャーナルに、食物繊維の機能性と経済性に関して検証を行った研究が、カナダのグループ(University of Manitoba)から報告されていました。
(Food Nutr Res. 2015 Dec 11;59:28646.)



先行研究により、食物繊維の摂取による健康増進、疾病予防効果が広く知られています。

したがって、食物繊維の摂取促進は、公衆衛生学におけるポピュレーションアプローチとしても重要です。



今回の研究では、

食物繊維の摂取により、機能性便秘の罹患率が減少することに伴う医療費の削減効果が検証されました。



具体的には、

カナダの成人を対象に、

現状での食物繊維の摂取量と、

食事ガイドラインでの摂取推奨量に基づき、

疾患費用解析が行われ、

食物繊維の1グラムあたりの機能性便秘の罹患率低下効果、

食物繊維の豊富な食事を摂ろうとする成人の割合、

食物繊維の摂取に反応する人口といった点が推計されています。



解析の結果、

まず、

1日あたり1グラムの食物繊維の摂取増加により、

機能性便秘が1.8%低下する、

ということです。


次に、

IOM(医学研究所)の摂取推奨基準では、

食物繊維は、

男性では38グラム/日、

女性では25グラム/日

であり、それに対応する成人の人口を

5%あるいは100%としたときに、

機能性便秘関連のヘルスケアコストとして毎年、削減ができる費用は、


それぞれ、

年間150万カナダドル と

3,190万カナダドルと推計されました。



食物繊維の摂取量を1日あたり1グラム増やすことで、

ヘルスケアコストの削減効果は、

年間10万カナダドルから250万カナダドルの間とされています。



以上のデータから、

食物繊維の摂取により、

個人の健康増進に加えて、

医療費の削減効果も期待できると考えられます。




厚労省による国民健康栄養調査では、
日本人の男女とも、一日あたりの食物繊維の摂取不足が示されています。

教科書的には、
もっと食物繊維をとりましょう
となりますが、実際に充足されていない状況が何十年も続いているわけですので、

補完的に、健康食品/サプリメントで食物繊維を補い、健康増進や疾病予防に利用することが合理的と考えます。


DHCでは、食物繊維含有サプリメントを製品化しており、1日1包の摂取で、日本人に不足している食物繊維の量が充足できるように設計されています。


食物繊維
植物由来の食物繊維を1日目安量あたり5,200mg配合




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サプリメントと医薬品の相互作用ハンドブック―機能性食品の適正使用情報


DHCが日本のサプリを健康にします。


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【健康食品FAQ】


DHCが第1位@利用している(利用したい)メーカー(経産省の調査)

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サプリメント利用により8年間で6兆円の医療費削減効果 [2015年11月26日(木)]
栄養学研究の専門ジャーナルに、米国におけるサプリメント利用の現状と効果に関するレビューが、在日米国商工会議所(ACCJ)から報告されていました。
(J Nutr Sci Vitaminol (Tokyo). 2015;61(Supplement):S136-S138.)



米国では、サプリメント(ダイエタリー・サプリメント)は、、DSHEA(ダイエタリーサプリメント健康教育法)などの関連法規で規制されています。

1994年のDSHEA施行以来、ダイエタリーサプリメントのマーケットは、4倍に成長し、

2012年の時点での売り上げは、320億ドルに達しました。

この成長の理由として、

サプリメントの構造/機能表示が、消費者に認知されるようになったことがあげられています。

なお、米国でもFTCによる規制や優良誤認を防ぐためのルールがあります。

また、構造/機能表示は、メディカルな訴求ではなく、健康保持/健康増進の訴求です。


さらに、
最近の研究での試算によると、

米国では、

4つの主要な分野での10種類の主な機能性成分を含むサプリメントの利用によって、

2013年から2020年にかけての医療費について、500億ドル(約6兆円)の削減効果が見込まれる、ということです。

サプリメントの利用による健康増進・疾病予防効果がさらに認知され、

医療費削減効果に関する情報が広がることで、QOL改善への貢献も期待されます。

今後、サプリメント・健康食品の適正な使用に関する情報啓発がさらに必要と考えられます。


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posted at 23:52 | この記事のURL
健康長寿社会の実現に向けてDHCのサプリメントが果たす社会的役割 [2015年09月26日(土)]
DHCでは、高品質のサプリメント・健康食品を適正な価格でご提供しています。

今日は、サプリメント・健康食品の社会的意義を考えてみました。


この数年、サプリメント・機能性食品・健康食品の適正使用のための環境が、急速に整備されてきました。


まず、(1)安全性・品質についてです。

DHCなどの大手メーカーでは、健康食品版GMP(適正製造規範)による製造を行っており、サプリメント・健康食品の安全性・品質が担保されています。


次に、(2)有効性についてです。

個別の機能性食品素材に関して、国内外の臨床研究により、一定の有効性(効果)のエビデンスが構築されています。


サプリメントに関する研究は、急増しています。

これらのエビデンスに基づき、それぞれの病態に応じた適切なサプリメントの選択・利用が可能になっています。



これらの(1)安全性(=品質)、(2)有効性(=効果)に加えて、国全体として健康長寿社会を実現するには、(3)経済性(=費用対効果)も大切です。


DHCでは、高品質のサプリメント・健康食品を適正な価格でご提供しています。

つまり、安全性・有効性・経済性を考慮した上で、DHCのサプリメント・健康食品を広く利用していただき、適正使用による健康寿命の延伸、健康長寿社会の実現が可能となっています。



医学・医療において、サプリメント・機能性食品の適正使用は、

@健康保持・保健効果、

A未病対策、

B疾病の補完療法としての臨床的意義があります。




このため、サプリメント・健康食品には、社会的意義も期待されます。


具体的には、@健康寿命の延伸、A医療費の削減、B新産業と雇用の創出の3点です。


まず、健康寿命の延伸に関して、病者が対象になる医薬品よりも、サプリメントの適正使用による保健効果や未病対策の推進による効果が期待されます。


次に、医療費の削減では、治療から予防・健康管理へシフトさせ、公的保険外のセルフケアとしてのサプリメントの適正使用が果たす役割が大きいと考えられます。


さらに、健康関連サービス産業のひとつとして、新産業と雇用の創出も期待されます。


現在、薬価ベースでは、病気を対象にする医療用医薬品の国内市場規模は10兆円を超しています。

これに対して、サプリメント市場は、1兆円台です。



今後、医療従事者や消費者の間でサプリメントの適正使用が拡大することで、次世代ヘルスケアシステムの中核として、サプリメントが、健康寿命の延伸、医療費の削減に寄与すると基地されます。


今日、個別化医療としての統合医療の実践において、サプリメント・機能性食品は、健康保持や疾病リスク低減、症状や病態の改善、治療における補完療法などに有用です。

このとき、
安全性・有効性・経済性の3点を考慮して、適切なサプリメント製品を選択し、至適な用法用量にて利用するという適正使用が前提条件です。

これらの条件を満たすサプリメント・健康食品をDHCはご提供しています。

サプリメント・機能性食品の適正使用は、健康寿命の延伸、健康長寿社会の実現に向けた次世代ヘルスケアシステムにおいて、重要な役割を果たすと考えています。


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posted at 23:55 | この記事のURL
「子供に対する有効性と安全性が確認されているサプリメントはほとんどありません」?!? [2015年09月21日(月)]
今月3日、消費者庁が

「子供のサプリメント利用は慎重に!」

とする記事を発表し、


その中で、

「子供に対する有効性と安全性が確認されているサプリメントはほとんどありません。」

と書いていました。



相変わらずの知識不足に基づく不正確な情報であり、

サプリメント・機能性食品に関する研究データにすべて目を通している私としては、

このようなダブルスタンダードに基づくネガティブキャンペーン情報に辟易しています。



私は、

安全性、有効性、経済性を考慮して、

サプリメント・健康食品を適正に利用することで、健康増進や疾病リスク低減、補完療法として一定の効果が期待できる、

という立場です。



実際、エビデンスを俯瞰するとき、

サプリメント・機能性食品は、成人だけではなく、小児や妊婦、高齢者にいたるまで、あらゆるライフステージにおいて健康増進や疾病リスク低減などの効果が示されています。



もちろん、安全性、有効性、経済性の3点から優れた製品を選び、適正に使用することが前提です。


また、子供では、いうまでもなく、食育が大切であり、 (ビタミンやミネラルといった) サプリメント・健康食品が、食事に置き換わるものではありません。



一方、食事だけでは補えない成分(あるいは量)について、小児、学童期において、サプリメントとして、機能性食品成分の摂取が疾病予防に役立つことが知られています。

また、個人の体質により何らかの慢性疾患リスクを有している小児でも、サプリメントの効果が知られています。


具体的には、

マルチビタミン、マルチミネラル、オメガ3系必須脂肪酸(EPAやDHA)、ビタミンD3などです。

その他、エキナセアやバレリアンといったハーブも小児で利用できます。




最近の研究では、次のようなデータが知られています。

日本からの報告では、学童にビタミンD3サプリメントを投与した臨床研究として、

ビタミンDサプリメントのインフルエンザ予防効果

が知られています。


ADHDの小児に対するオメガ3系脂肪酸の効果



喘息の小児はビタミンDにより風邪リスクが減少する:系統的レビュー




プロバイオティクスによるアトピー性皮膚炎の予防効果:メタ解析




ビタミンDによるアトピー性皮膚炎での免疫調節作用



バレリアンによる小児の多動性の改善作用


高用量のビタミンDによる小児喘息への効果:メタ解析


抗酸化ビタミンによる血管機能改善効果@生殖補助医療の小児




サプリメントは、大人でも子供でも、あらゆるライフステージにおいて、適切に利用することで一定の有用性が期待できます。


サプリメントが第1位:米国の小児での補完代替医療(CAM)の動向2002-2012




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フォースコリーの安全性・有効性に関する研究 [2014年07月10日(木)]
「フォースコリー」の安全性と有効性に関する臨床研究をご紹介します。


はじめに:

「フォースコリー」(学名コレウス・フォルスコリColeus forskohlii)は、南アジアに自生するシソ科の植物です。


インドでは、食経験の豊富な食材として用いられています。

(根がピクルスなどとして利用されてきました。)


主な成分として、ジテルペン類のフォルスコリンforskolinが含まれています。



フォルスコリンには脂肪分解促進作用があり、米国や本邦では、コレウス・フォルスコリ抽出物が体重調節のための機能性食品成分として利用されています。


なお、コレウス・フォルスコリの有効成分は、フォルスコリンだけではありません。

(例えば、フォルスコリン以外のジテルペン類として、deacetylforskolin、9-deoxyforskolin、1,9-deoxyforskolin、1,9-dideoxy-7-deacetylforskolin等がコレウス・フォルスコリの根に見出されています。)

(一般に、ハーブの特徴として、単一の成分だけではなく、さまざまな機能性成分が協同して働いています。)



有効性について:

これまでに、海外及び国内で行われた多くの臨床研究において、コレウス・フォルスコリ抽出物(サプリメント)による減量作用が示されています。


コレウス・フォルスコリの作用メカニズムは、次のように考えられています。


・フォルスコリンは、平滑筋や心筋のアデニル酸シクラーゼを活性化し、c-AMP(cyclic AMP)の産生を増加させます。

・ラットやヒトの脂肪細胞を用いた基礎研究において、c-AMPを介する脂肪分解促進作用が示されています。c-AMPは、摂食時の熱産生作用、基礎代謝促進作用、体脂肪利用促進作用に関与する分子です。

・肪細胞における脂肪分解過程では、カテコールアミン類といった脂肪分解促進ホルモンが、脂肪細胞膜に存在するβ-アドレナリン受容体と結合し、Gタンパク質を介してアデニル酸シクラーゼを活性化し、c-AMPを増加させます。これにより、ホルモン感受性リパーゼがリン酸化され、活性化されることによって、脂肪分解が生じると考えられます。

・なお、コレウス・フォルスコリエキスによる作用は、フォルスコリンだけによるのではなく、それ以外の含有成分の関与も示唆されています。

・したがって、フォルスコリン単独ではなく、コレウス・フォルスコリエキスとして摂取することに臨床的意義があると考えられます。



コレウス・フォルスコリの減量効果のエビデンス:

これまでに、海外及び国内の多くの臨床研究において、コレウス・フォルスコリによる減量作用や高血圧改善作用が示されてきました。



DHCでも臨床研究を実施し、有効性と安全性を確認しています。


例えば、

健康な成人男女12名(男性5名、女性7名、平均年齢32±2.3歳)を対象に、

1日あたり1,000mgのコレウス・フォルスコリエキス末(フォルスコリンを10%含有、1日あたり4粒)を8週間投与した臨床研究では、

体重の有意な減少(p<0.005)、体脂肪量の有意な減少(p<0.005)を認めました。



この研究は、米国生薬学会で発表し、

査読のある専門誌に、英文原著論文としても報告しています。


(DHCによる研究を報告した英文原著論文はこちらです。)



さらに、日本のダイエットサプリメントに関するレビュー論文(大阪大学のグループによる総説)にも、DHCによる原著論文がエビデンスとして収載されています。

(レビュー論文はこちらです。オープンアクセスで無料です。)



安全性について:


海外で行われた臨床研究では、重篤な有害事象や副作用は示されていません。

国内の臨床研究では、被験者の一部において一過性の軟便や鼓腸といった軽度の消化器症状が認められています。


コレウス・フォルスコリエキス末の安全性を調べる目的で行われた漸増試験では、軟便、下痢、鼓腸が示されました。


これらの症状の程度における用量依存性は明確ではなかったことから、消化器症状の発現の有無は、個人の体質や体調によるところが大きいと考えられます。


また、消化器症状の発現と体重の変化との間に相関は認められていません。


したがって、コレウス・フォルスコリエキスによる体重および体脂肪の減少効果は、軟便や下痢といった消化器系への作用とは別の作用部位における機序と考えられます。

(つまり、下痢をするから、見かけ上、体重が減る、というのではなく、体脂肪の減少による減量効果です。)


なお、軟便や下痢といった消化器症状は、摂取継続中に消失・自然軽快、あるいは、摂取終了後、数日以内に消失・自然軽快の経過となっています。


(漸増試験で認められた消化器症状は、軟便、下痢、鼓腸のみであり、いずれも軽度でした。腹痛や下血、イレウスなどは認められていません。また、消化器症状以外の症状も示されませんでした。)



したがって、コレウス・フォルスコリの摂取時には、


最初から、最大の摂取目安量(4粒)を、一度にまとめて摂るのではなく、

少量(1粒あるいは2粒)から開始して、各自の体質に合っているかどうか、確認しながら上手に利用することが好ましいと考えます。


(ちなみに、フォースコリーをダイエットではなく、便通改善のために利用している場合もあります。)



(コレウス・フォルスコリ摂取時に認められる軟便などのメカニズムは、腸管粘膜細胞におけるCFTRを介した働きが考えられています。

コレウス・フォルスコリによるcAMP上昇が、体脂肪組織にて働く場合に抗肥満作用となり、腸管で働く場合に、イオン交換により腸管内腔への水分泌を生じると推定されます。)


コレウス・フォルスコリ摂取に伴う抗肥満作用および消化器症状の発現頻度や程度には個人差があることから、レスポンダーとノンレスポンダーの存在が示唆されます。




その他、コレウス・フォルスコリは、ハーブに由来するサプリメントですので、

他のハーブや食品と同様に、

個人の体質や感受性の違いによって、稀にアレルギー様症状や過敏症などは、想定されます。

(したがって、体調の不調を感じたら、体質に合わないことが考えられますので、中止しましょう。)




まとめ:

肥満の改善や予防には、適切な食事と運動による生活習慣の見直しが最も重要です。


食事療法は、低エネルギー食・低脂肪食が基本ですが、インスリン抵抗性を示す場合には糖質制限食も選択肢となります。


また、肥満関連遺伝子変異を測定し、疾病感受性を知ることも容易に行うことができるようになりました。


コレウス・フォルスコリなど、肥満に対するサプリメント・機能性食品は、これらの統合医療的アプローチの組み合わせの中で、選択肢の一つとして補完的に用いることができます。


(繰り返しになりますが、コレウス・フォルスコリのサプリメントは、
過剰摂取を避けて、適正に使用することが大切です。)



DHCでは、コレウス・フォルスコリ含有サプリメント(フォースコリー、ダイエットパワー)に関する臨床研究の成果を発表しています。



「フォースコリー」の体重減少効果



「フォースコリー」の安全性に関する検証



肥満に対するDHCのアプローチ



「フォースコリー」の安全性




拙稿「メディカルサプリメント」の掲載誌@医と食 vol.5, No.5




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‘サプリメントは個別化医療の重要な選択肢’ [2014年02月22日(土)]
‘サプリメントは個別化医療の重要な選択肢’

という見出しで、

学会出講に関する取材記事の掲載誌「メディカルトリビューンMedical Tribune」
(2014年2月6日号、p15)

が届きました。



第17回日本統合医療学会学術集会の臨床シンポジウム「薬とサプリメントと統合医療」での出講内容です。







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「フォースコリー」の安全性に関する検証 [2012年11月20日(火)]
DHCでは「フォースコリー」の安全性を確認した臨床研究を実施していますので、ご紹介いたします。

(UMIN000008224)



【研究の背景】

「フォースコリー」(学名コレウス・フォルスコリColeus forskohlii)は、南アジアに自生するシソ科の植物です。


インドなど現地では、食経験の豊富な食材として用いられています。


主な成分として、ジテルペン類のフォルスコリンforskolinが含まれています。

フォルスコリンには脂肪分解促進作用があり、米国や本邦では、コレウス・フォルスコリ抽出物が体重調節のための機能性食品成分として利用されています。

(弊社では「フォースコリー」です。)



(なお、有効成分は、フォルスコリンだけではありません。

一般に、ハーブの特徴として、単一の成分だけではなく、さまざまな機能性成分が働いています)。



これまでの複数の臨床研究において、コレウス・フォルスコリ抽出物(サプリメント)による減量作用や高血圧改善作用が示されています。



今回、私たちは、コレウス・フォルスコリの安全性を検証する目的で、健常者(20〜40歳代の男女)29名を対象に、1ヶ月間のオープンラベル漸増試験を実施しました。



【対象】

20〜40歳代の健康な男女29名。

男性9名(平均年齢36.2歳)、女性20名(平均年齢30.2歳)。


【方法】

コレウス・フォルスコリ抽出物含有食品として、「フォースコリー」(ディーエイチシー)を用いました。


フォースコリーは、1日あたりの摂取目安量が2粒〜4粒であり、1粒あたりコレウス・フォルスコリエキス末(フォルスコリン10%)を250mg含有する健康食品です



今回の臨床試験では、

1週間のwash-out後、

第1週目にフォースコリーを1粒(250mg/日)、

第2週目に2粒(500mg/日)、

第3週目に3粒(750mg/日)、

第4週目に4粒(1,000mg/日)と漸増投与しました。


(単群非ランダム化オープンラベル漸増試験)




【試験の結果】

被験者29名全員が試験を完了しました。

主アウトカムは、有害事象です。


(「有害事象」とは、因果関係を問わない体調不良をすべて含みます。

したがって、「副作用」とは異なります。

特定の医薬品の摂取との因果関係が存在すれば、薬剤による副作用となります。)




まず、因果関係が否定できない有害事象は、29名中11名(37.9%)で見出されました。


これらの有害事象はすべて消化器症状です。

具体的には、軟便、下痢、鼓腸でした。



(28日間の試験期間中、1回でも消化器症状があれば、その被験者も数にカウントしています。
今回は、軟便や下痢という非特異的な消化器症状をすべて数えていますので、数が多くなっています。)


なお、下痢の程度および頻度はさまざまであり、症状の程度における用量依存性は明確ではありませんでした。



次に、

消化器症状を示した被験者の人数(割合)を、フォースコリー摂取量別に調べたところ、

第1週から第4週を通じて、被験者29名中、6名(20.7%)あるいは7名(24.1%)でした。



(具体的には、6名(=第1週、3週、4週)あるいは7名(第2週)でした。)


つまり、週別・各用量別に見たとき、消化器症状を訴えた被験者の数は、摂取粒数が増えても、有意な変化は示していません。




また、被験者延日数における消化器症状の認められた日数(割合)は、第1週10.3%、第2週12.3%、第3週14.3%、第4週15.8%でした。


延日数でみると、摂取粒数が増えるにしたがって、消化器症状の割合(日数/件数)は、漸増しています。




なお、軟便・下痢・鼓腸といったこれらの有害事象は、
試験期間中(継続中)に消失・自然軽快、あるいは、漸増試験終了後数日以内に消失・自然軽快の経過となりました。



その他、被験者29名中10名(BMIの大きいほうから男女各5名を対象)では、

フォースコリー投与の前後で医療機関を受診し、採血、採尿、検便を実施しました。



そして、理学的所見、心電図、血液生化学所見(肝機能や腎機能、糖代謝・脂質代謝など)、尿検査、便検査、甲状腺ホルモン検査といった測定・解析を行った結果、
いずれの項目でも、有意な変化は認められていません。


【考察】

今回、コレウス・フォルスコリエキス末の安全性を検証する目的で、標準的な投与量を目安に、「フォースコリー」の漸増試験を実施しました。


本試験で認められた有害事象は、すべて消化器症状であり、具体的には、軟便、下痢、鼓腸でした。


下痢の程度および頻度はさまざまであり、症状の程度における用量依存性は明確ではありませんでした。


例えば、

・第1週(250mg/日)と第2週(500mg/日)に下痢を認めたが、第3週(750mg/日)および第4週(1,000mg/日)では認めなかったという被験者、

・第2週のみに認めた被験者、

・第2週と第4週に認めた被験者

などが見出されました。



また、

・試験期間の4週間を通じて、軟便傾向にあったが、その程度に変化はなかったという被験者、

・試験期間を通じて、消化器症状など有害事象は一切認められなかった被験者も示されています。




このことから、消化器症状の発現の有無は、個人の体質や体調によるところが大きいと考えられます。


また、消化器症状の発現と体重の変化との間に相関は認められませんでした。


したがって、コレウス・フォルスコリエキスによる体重および体脂肪の減少効果は、軟便や下痢といった消化器系への作用とは別の作用部位における機序と考えられました。


消化器症状を示した被験者の人数(割合)は、第1週から第4週を通じて、被験者29名中、6名あるいは7名であり、用量の漸増による人数の変化は認められていません。


しかし、被験者延日数における消化器症状の認められた日数(割合)は、第1週10.3%、第2週12.3%、第3週14.3%、第4週15.8%であり、漸増傾向・用量依存性が示唆されました。


軟便や下痢といった消化器症状の有害事象は、試験期間中(継続中)に消失・自然軽快、あるいは、漸増試験終了後、数日以内に消失・自然軽快の経過となっています。


なお、今回の漸増試験で認められた消化器症状は、軟便、下痢、鼓腸のみであり、いずれも軽度でした。

腹痛や下血、イレウスなどは認められていません。また、消化器症状以外の症状は認められていません。



【まとめ】

コレウス・フォルスコリ(学名Coleus forskohlii)抽出物の安全性検証を検証する目的で、「フォースコリー」を用いた漸増試験を行いました。


フォースコリーの摂取時には、各自の体質や体調における個人差によって、軽度の消化器症状が生じうることが示唆されました。


したがって、コレウス・フォルスコリ含有食品の摂取時には、

最初から、最大の摂取目安量(4粒)を、一度にまとめて摂るのではなく、

少量(1粒あるいは2粒)から開始して、各自の体質に合っているかどうか、確認しながら上手に利用することが好ましいと考えます。





(「フォースコリー」のパッケージには、

※過剰摂取を避け、1日の摂取目安量を超えないようにお召し上がりください。

※一度にたくさん摂りすぎると、お腹がゆるくなることがあります。少なめの粒数から始め、体調に合わせて摂取量を増やしてください。

※妊娠中はお控えください。

※原材料をご確認の上、食品アレルギーのある方はお召し上がりにならないでください。

と記載されています。)




コレウス・フォルスコリは、食経験が豊富な食材であり、安全性が高く、今後、機能性食品成分として、臨床的意義の検討が期待されます。




臨床的意義として、例えば、体重調節作用以外に、整腸作用・便秘改善作用という用い方も考えられます。


(なお、私たちが行ってきたこれまでの2つの臨床研究では、緩下作用と体重減少作用との間に相関は見出されていません。

つまり、「おなかが緩くなるから体重が見かけ上、減少する」のではなく、フォースコリーの標的組織が、体脂肪組織と消化管とそれぞれ異なって存在することによる、と考えています。

詳細な作用機序については、さらに検証が必要です。)



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米国でのサプリメント利用は高齢者で増加 [2011年11月01日(火)]
薬物治療学の専門ジャーナル(電子版)に、米国におけるサプリメント利用者の推移について解析した調査が、米国のグループ(University of North Carolina at Chapel Hill)から報告されていました。
(Clin Ther. 2011 Oct 24.)



米国では、サプリメントやハーブが広く利用されていることが各種の調査で示されてきました。


今回の研究では、サプリメントおよびハーブ(サプリメント)の利用状況について、経時的および層別の解析が行われています。


具体的には、2002年の全国健康面接調査(NHIS)データ(n = 30,427)と2007年のデータ(n = 22,657)が比較されています。



まず、米国成人の間で、サプリメントあるいはハーブを利用したことがあるとした人は、
2002年の5060万人から、2007年の5510万人へ増加していました。


一方、過去12カ月間の利用状況についての割合は、2002年の18.9%から、2007年の17.9%へ低下しています。


また、年齢別解析では、若年者では、2002年の20.0%から2007年の17.6%へ低下しています。


65歳以上の高齢者では、2007年に19.5%であり、2002年の13.2%から増加を示しています。



人種マイノリティでも低下が認められています。



なお、かかりつけ医や医療関係者に、サプリメントやハーブの利用を申告した人の割合は、
2002年の33.4%から2007年の45.4%へ増加しました。



以上のデータから、論文著者らは、米国ではサプリメントやハーブは継続して広く利用されているものの、利用者層などには変化がみられる、としています。



この全国調査は、被験者が異なるので、縦断研究としての比較には限界があります。


一方、米国では、サプリメントに関するメディアの情報操作(ネガティブデータのみを報道することなど)によって、特定のサプリメント利用が顕著に低下することが報告されています。


例えば、2000年代初頭、セントジョーンズワートというハーブが効かないという見出しが多くの報道機関で流れたことがあり、結果的にハーブの売り上げ減少をもたらしました。

(このネガティブデータの研究のスポンサーは、某大手製薬メーカーであり、ハーブの代わりに自社の医薬品/SSRIを、米国や日本で販売しています。似たような事例は、特に米国では多数あります。)



日本のメディアでも、サプリメントや健康食品については、誤解や知識不足による稚拙な報道記事をよくみかけます。


近年のサプリメント研究によるエビデンス構築の結果、適切な製品を適正に使用すれば、一定の効果が期待できるのは明らかです。


安全性・有効性・経済性(費用対効果)の点から、サプリメントの適正な使用は、健康増進や疾病予防に有用です。



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セルフケアと経済的なインセンティブ [2010年11月13日(土)]
これまで,サプリメントは,医療用医薬品に比べてRCT(ランダム化比較試験)などによるエビデンス(科学的根拠)が少ないとされてきました。



しかし,この10年ほどの間に,多くの臨床研究が行われるようになり,一定の科学的根拠が構築されてきた機能性食品成分・サプリメント成分があります。


(また,それ以前に,すでに有効性と安全性が確立されている生薬・ハーブサプリメントも数多くあります。)



今後,有効性や安全性が想定される場合でも,費用対効果の点で適正かどうか,個別の検討が必要と思われます。



(公的保険が適応となる医薬品でも,有効性や安全性だけではなく,費用対効果・経済性の面から,検証されるべきと考えています。)



健康食品・サプリメントでは,健康増進で長期に摂取する場合はもちろん,疾病の改善,症状の軽減を目的として比較的短期間で摂取する場合も,自己負担のセルフケア・セルフメディケーションで利用するわけですから,継続できる製品群であることが重要です。



現在,大手のメーカーから,良質の製品が適正な価格で提供されていますので,必要以上に高額な製品は不要です。

(高額だから効く,珍しい成分だから効く,ということはありません。また,どの成分や製品が必要かは個人によって異なります。




有効成分の含有量について確認し,費用対効果を比較した上で,継続して摂取できる製品を選びましょう。





厚労省は,医療費抑制のために,後発医薬品(ジェネリック医薬品)の利用を促進しています。


セルフケアの分野で用いられるサプリメントは,保険適応ではない(病院の医薬品のように保険が利くわけではない)ので,個人の情報リテラシーが大切です。




できれば,今後,健康保持や疾病予防,標準治療の補完療法として,一定の有効性が認められるサプリメント成分については,

(国の財政状況が厳しいので,保険適応を拡大するというのは困難ですが,)

自己負担になるサプリメント購入費用について,税制上のメリットを導入し,個人のレベルで経済的なインセンティブを働かせるべきと思います。



(現行の税制では病気になってからの費用について,所得税控除があります。しかし,これでは,健康を維持することについてのインセンティブにはなっていません。)





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健康食品の注意書きにおけるバイアス [2009年05月18日(月)]
カナダの研究グループから、サプリメント・健康食品の場合、医療用医薬品に比べて、監督官庁からのリスク警告が過剰になっているのでは、という仮説に基づいた報告がありました。
(ISCMR, S.Vohra, Session 5)


-Actual vs. Potential Harm

-Nature of Harm

-Severity of Harm

-Degree of Association

などについて分析が行われています。




発表されたデータをみると、確かに医薬品では実際に生じた有害事象に関連した注意喚起が多いのに対して、サプリメント・健康食品では実際には生じておらずあくまで潜在的な可能性というレベルで注意喚起が行われていることが示唆されます。

(reporting biasがあることになります。)


(わかりやすい例は、医薬品とサプリメントの相互作用などです。臨床的意義が不明なin vitroのデータのみに基づいて、明らかに過剰な注意喚起が行われているケースがあります。
科学的根拠が重視される一方、それらを収集・分析して、エビデンスを構築するという点では、あまりうまく活用されていないように思います。)




それぞれ使用目的もリスク許容度も異なりますので、一概に比較はできませんし、研究者らの結論も必ずしも仮説を立証した、というものでもありませんでした。

(聴衆には、監督官庁であるヘルスカナダの関係者もいましたし。) 




日本でも、このような解析をすれば、同様な傾向が認められるように思います。
posted at 23:56 | この記事のURL
女性とハーブ療法 [2009年02月07日(土)]
今月の代替医療の専門誌に,女性を対象にしたハーブ療法についての総説論文が発表されていました。
(Altern Ther Health Med. 2009 Jan-Feb;15(1):54-8.)



代替医療(CAM)・統合医療(IM)に関する利用状況調査では,女性のほうが男性よりも,代替医療の利用頻度が高いことが報告されています。

(その他の関与因子としては,所得水準や教育水準が高いことが知られています。)



女性がCAM/IM療法,特にハーブ療法を好む理由に関して,個人の健康志向,通常の病院への医療では満足せずに,ホリスティックなアプローチを望むこと,医療用医薬品の副作用に関する不信感といったことが上げられています。


実際,妊娠中の女性はハーブ類を多く用いることが知られています。


例えば,米国東部の妊娠中の女性578名を対象にした調査研究では45%がハーブ療法を利用したことがあると報告されています。


また,オーストラリアの女性588名を対象にした調査では,36%が妊娠中に少なくとも1度はハーブ療法を用いたということです。



(著者のDr. Low Dogは,ハーブ療法の専門家として著名です。私も彼女の話を聞く機会がよくあり,そのたびに勉強になっています。)




一般に,ハーブ療法は,(医療用医薬品に比べて)安全性が高いと考えられています。


カモミールやエキナセアのように,安全性の高いハーブは多く知られています。


ただし,多くのハーブでは,ランダム化比較試験による検証は十分とはいえないのが現状です。


医薬品やサプリメントでは,妊婦や授乳婦を対象にした臨床研究は非常に限られています。


少人数を対象にした臨床試験では,妊娠中や授乳中の女性における安全性を示すのは容易ではありません。


具体例として,自然流産の割合が6%から7%へ増加することを示すためには,少なくとも1万9千名の被験者が必要と試算されます。



一方,ハーブ療法が,新規医薬品成分とは異なる点もあります。

それは,基礎研究に加えて,伝統医療での処方経験や,食経験に基づく許容性といったデータが集積されている点です。


新規医薬品成分の検証におけるゴールドスタンダードはランダム化比較試験ですが,ハーブ療法についての検証では,エビデンスのスライディングスケールを適応してもいいかもしれません(私見ですが)。


ホリスティックなアプローチであるハーブ療法に関しては,エビデンスの検証も包括的で賢明な臨床での判断が求められると思います。


(食品やサプリメントの安全性に関して,医療消費者とのリスクコミュニケーションが大切であることはいうまでもありません。)
posted at 23:55 | この記事のURL
机上の空論になってしまうNMCDの相互作用に関する情報 [2009年01月25日(日)]
今日参加したセッションの一つに,サプリメントと医薬品の相互作用に関するアップデートというワークショップがありました。


担当者はNMCDのエディター(PhamD)で,主なサプリメントについて,医薬品との相互作用についてのデータをレビューし,ディスカッションするというワークショップです。



NMCDは,よく利用されるデータベースですが,相互作用については理論的な言及が非常に多く,結果的に臨床的意義が低い記載も少なくありません。



NMCDは,安全性に関する情報を速やかに掲載する方針のため,in vitro研究の予備的なデータであっても,臨床家向けにすぐに反映させてしまいます。

(このため,サプリメントの◎◎と医薬品の○○は併用時に相互作用の可能性がある,という言及が,机上の空論になってしまうことも多く,多様な病態に遭遇する臨床現場では有用とはいえないデータベースです。)

(その他,因果関係が不明な症例や,成分ではなく個別の製品のQCに関連する有害事象も混在して記載されています。)


実際に,担当者であるエディターも認めていたことですが,in vitroのデータが,後に実施されたヒト臨床研究では否定されたケースもあります。

(例えば,エキナセアとP450など。)



ワークショップでも,サプリメントの各論の部分では,明らかに参加者のほうが豊富な知識を有している場合があり,NMCD側に資料を提供することを依頼された研究者もいました。



取り上げられたサプリメント成分は,グルコサミン,ブラックコホシュ,ザクロなどです。

その他,紅麹についても多くの意見交換が行われました。

紅麹とスタチンの併用投与によって,(紅麹によりも明らかに副作用の多い)スタチン剤の用量を減らしたケースについて報告したGPから,FDAの規制の意図についての発言が興味深いものでした。




今日のワークショップでは,NMCDのエディターよりも,現場の医師が実践的かつ臨床に即した知識を有しており,企業の研究者のほうが個別成分のデータについては詳しい,ということが印象づけられました。




日本ではNMCDがゴールドスタンダードのように思われているようですが,米国では頻用される商業データベースの一つ,という扱いではないでしょうか。

(少なくとも,専門家がNMCDの記載内容を鵜呑みにしてしまうことはありませんし,臨床の現場ではサプリメントの適正使用について常識的な判断が行われているようです。)
posted at 23:55 | この記事のURL
疾病予防に対するインセンティブのしくみ [2009年01月02日(金)]
昨年末に,日本でも糖尿病の患者および予備軍が急増しているというニュースがありました。


現在,糖尿病に対しては,まず,食事と運動による予防や治療が推奨され,その次の選択肢として医薬品があります。

(実際には,食事指導や運動療法が十分に行われることなく,医療用医薬品が処方されることも少なくないと推察されます。)



一方,糖尿病予備軍といわれた場合には,食事や運動を補完する目的で,サプリメント/健康食品を利用するという方も多いと思われます。



今後,医療費の効率的な配分を考えると,糖尿病になってしまってから高価な医療用医薬品を使うのではなくて,疾病予防にコストを投じることが必要と考えられます。


そのためには,個人レベルでも,生活習慣病予防に関連して,食事/栄養,運動,サプリメント/健康食品にかかるコストに対して,経済的なインセンティブが働くような仕組み作りが求められます。
posted at 23:53 | この記事のURL
JAMAのバイアス [2008年06月20日(金)]
私見ですが、JAMA(米国医師会ジャーナル)は、サプリメントに関する臨床研究のうち、ネガティブデータを好んで掲載する印象があります。


例えば、昨日のブログで紹介したデータもネガティブであり、SJWの単独投与ではADHDに効果が認められなかったというものです。

SJWは比較的認知されているハーブサプリメントであり、JAMAに掲載されたネガティブデータであるため、メディア等でも報道されています。

ただし、ADHDに使うとすれば、サプリメントであれば、やはりオメガ3系脂肪酸のように思います。



これまでも、JAMAは、セントジョーンズワート(SJW)についてのネガティブデータを報道してきました。
数年前にも、重症うつ病にSJWを投与した、ネガティブな結果の臨床試験を発表しています。

重症うつ病は難治性であり、その試験の被験者データをみると、どんな医薬品でも効果が期待できないような重症例の集まりでした。


一方、コクランレビューでは、SJWは、軽症から中等症のうつ病に効果があると結論づけられています。


重症うつ病に対しては、効果的な治療法は確立されておらず、JAMAのRCTでも、アクティブ治療群がない設定でした。

効果がないということではSJWもSSRIも同じというデータでしたが、メディアの見出しは、「SJWはうつ病に効果がない」、というものした。


(重症うつ病はもともと難治性です。
一方、SJWは軽症から中等度のうつ病には効果が期待でき、一定の安全性も確立されています。
ネガティブな試験結果が発表された当時、メディアの見出しだけを読んだ消費者が混乱したことで、非常に問題になりました。)



ネガティブデータは、publication biasを是正する上では重要です。
(ネガティブデータが未発表であると、メタ分析で効果が過大評価されてしまうので。)

しかし、一般的な適用ではない方法(SJWとADHD、SJWと重症うつ病)を検証すること自体、妥当性が疑問です。


さらに、JAMAでは、プロトコールではそうなっていないのに、「ランダム化偽薬対照二重盲検試験」として、イチョウ葉エキスのネガティブデータを掲載したことがあります。

また、不適切なプロトコール(RCT)で実施されたガルシニアのネガティブデータも知られています。


その他、JAMAが査読を依頼したという生薬学の大御所の教授が、実際には査読を依頼されたことはなかったとか…。


サプリメントに関するJAMAの論文は、(編集者・査読者によりますが)、一般に要注意です。
posted at 23:53 | この記事のURL
「DHCサプリメント研究所」オープン [2008年05月14日(水)]
本日、「DHCサプリメント研究所」がオープンいたしました。


「DHCサプリメント研究所」は、医療関係者(学生も含む)を対象とした、サプリメント・健康食品の情報提供サイトです。

わたくしの挨拶文に、サイト開設の背景や目的などを説明いたしております。


また、本サイトでは、DHCによる医療関係学会への協賛(出展)予定を掲載しております。

今後、該当する学会や研究会に出席される際には、DHCの出展ブースにもお立ち寄りいただけると幸いです。


なお、サイト開設にあわせて、ご登録いただいた医療関係者の方に抽選で拙著を贈呈するという企画を実施しております。
(詳細については、サイトをご覧ください。)
posted at 23:54 | この記事のURL
抗酸化サプリメントのメタ分析@コクランレビュー [2008年04月18日(金)]
今週、コクランレビューで、抗酸化サプリメントに関するネガティブなデータを示した論文が発表されました。
(CD007176)


メタ分析という方法で、これまでに報告された臨床研究(ランダム化比較試験67報)を解析した結果、抗酸化サプリメントには死亡率を下げたり疾病を予防したりする効果はなかったというものです。


ただし、この論文は、解析の方法自体に問題が多く、これまでに発表されてきた他のいくつかの論文と同様に、信頼性の低いものです。

(つまり、新しいデータが加わったのではありません。)
(論文著者らは、昨年のJAMAに発表されたネガティブデータと同じグループです。)


一般論ですが、マスメディアは、サプリメントの効果を否定するようなネガティブデータを好むので、今後、日本でも話題になることがあるかもしれません。

ニュースの見出しや結論が一人歩きすることで、サプリメントのユーザーや医療関係者が混乱する可能性も考えられますので、問題点をまとめたいと思います。


今回の論文は、抗酸化サプリメントの効果を検証したレビュー(メタ分析)です。

抗酸化サプリメント(ビタミンA,ビタミンE,βカロテン、ビタミンC、セレン)を用いたランダム化比較試験67報を解析した結果、これらのサプリメントによる疾病リスク低減作用や延命作用は示されなかった、ということです。

解析対象となったのは、これまでに発表された67報のランダム化比較試験です。

一方、747報の臨床研究は、解析の対象外とされました。

そのうち、405報の試験は、死亡がなかったという理由です。
(その他の試験は、無作為化されていない、クライテリアを満たさない、現在進行中であるといった理由で除外されています。)


つまり、抗酸化サプリメントを投与した臨床研究として見出された論文のうち、90%以上が除かれた上で(そのうち死亡はなかったという研究が多くあります)、死亡率が比較され、効果はないとされています。


また、βカロテンやビタミンEでは、一部の極端なRCTの結果による影響を受けて、サプリメント投与群が好ましくないようなデータになっています。

解析された67報は、メタ分析の対象にするにはばらつきが大きく、性質の異なる臨床研究です。
(対象者、投与した抗酸化剤の用量・用法、一次予防か二次予防かなどで、大きく異なる研究です。)


したがって、今回のコクランレビューは、これまでに何度が報告されてきたメタ分析の蒸し返し(同じ研究グループによる類似した解析)によるネガティブデータになっています。

(その他にも、バイアスの原因や利害の衝突となっている点があり、後日、それらを紹介したいと思います。)


抗酸化サプリメントのように、緩やかな作用を有する成分の場合、従来のアウトカムによる評価は困難と思われます。

今回の論文のように、コクランレビューのプロトコールにしたがって、機械的に90%以上の臨床研究を除外し、それらをエビデンスとしてまったく無視してしまうことは問題です。


さらに、近年のプロテオミクス研究では、個人差/ヒトの多様性が明らかになっており、抗酸化サプリメントの緩やかな効果が、多様性という背景に埋もれてしまうことも考えられます。


化学合成された医薬品を、短期間投与した際の介入の効果を判定する方法としては、ランダム化比較試験がゴールドスタンダードと考えられます。

介入の作用が大きな化学合成薬についての試験であれば、多少の個人差/体質の差は結果に大きな影響を与えることはないと思います。


一方、機能性食品成分による緩徐で長期にわたる効果を判定するためには、従来のランダム化比較試験およびメタ分析という方法では、検出力が不足して、正しい結論が導き出せないと考えられます。



コクランレビューの結論は、いつも同じパターンになっています。

つまり、(有効性が示唆されるにせよ、されないにせよ)、結論を出すには、さらにRCTが必要、というパターンです。


個人差に基づく個別化医療の推進という考えが浸透している現在、個人差を平均化してしまうRCTやメタ分析だけではなく、その他のタイプの研究もエビデンスとして取り入れていく必要があるでしょう。
posted at 23:54 | この記事のURL
CAMと費用対効果 [2008年04月02日(水)]
今朝帰国し、都内に向かう電車の中から満開の桜を眺めていました。


移動中、補完代替医療・サプリメントによる費用対効果を検証した論文についての記事を読んでいました。

いくつか興味深い論文が見つかりました。


ます一つめは、心臓病(虚血性心疾患)の予防では、地中海式ダイエットがもっとも費用対効果が高いことが示されています。

高コレステロール治療薬を使うよりは、野菜や果物、オリーブオイル、魚類などをバランスよく摂取するほうが、好ましいというデータです。
(Health Promt Int 2007;22:271-83)


二つめは、術後のケア、心臓病、尿路感染症にはCAMの利用が費用対効果の高い方法であるというデータです。
(eCAM 2007)



サプリメント/CAM/IMの研究では、まず、有効性と安全性についての検証が行われます。

現在、サプリメントの多くについては、適切に使用すれば、安全であり、効果的であるというデータが得られつつあります。

今後、費用対効果の見地からもサプリメントによる疾病予防や緩和療法が支持されることが期待されます。

posted at 23:56 | この記事のURL
コクランの妥当性 [2008年04月01日(火)]
今日は移動日です。
空港に向かう道路で事故があり、大渋滞でしたが、早めに向かっていたので、特に問題なく予定の飛行機に乗れました。


さて、今回の学会でのプレゼンの中に、コクラン共同計画によるハーブとある疾患のレビューがありました。

担当した研究者は、最初に「お断り」として、
「自分はハーブの専門家でも何でもなく、ハーブについてはまったく知らない」、
ということを述べていました。


彼女によると、ハーブによる疾患への効果について、コクランからレビューするように依頼を受けたが、ハーブについては何も知らないので、ワーキングチームにハーブの専門家を紹介するという条件で引き受けたとのことです。


彼女の場合は、ある意味、非常に正直であったという印象です。

結局、コクランのこのテーマは、適切な専門家を入れた上でのレビューになっています。


一方、コクラン共同計画の実施の方法が、このように(必ずしも専門家でも第一人者でもない人に)丸投げしているであるならば、ハーブだけではなく、CAM/IMに関連したテーマの評価について、妥当性に疑義を生じている可能性もあります。

(JAMAやNEJMなどでは、ハーブのRCTとして、不可思議なプロトコールによって得られたデータが掲載されることが珍しくありません。日本では、「欧米の一流誌に掲載されたネガティブデータ」として、引用されることさえあります。)


コクランのレビューは確立された手順に沿って行われますので、それ自体は問題にはなりませんが、サプリメントも含めてCAM/IMでは論文の質の判断が重要です。

レビューの際、論文の質が実験プロトコールによって判断されることもあり、CAM/IMでは適切な判断が行われていない可能性があります。


従来の薬物治療の評価であれば、コクランの方法でもあまり問題はないと思いますが、CAM/IMの評価では、RCTがゴールドスタンダードとは限らず、検討が必要でしょう。

posted at 23:55 | この記事のURL
サプリメントと処方薬の相互作用 [2008年03月15日(土)]
今月のアメリカの医学誌に、サプリメントと処方薬の相互作用のリスクは現実的には低い、とする報告が、メイヨークリニック(Mayo Clinic)のグループから発表されていました。
(Am J Med. 2008 Mar;121(3):207-11.)



サプリメントと医薬品(処方薬)との相互作用については、2000年頃から話題になってきたテーマです。

当時、セントジョーンズワートと一部の医薬品との相互作用による有害事象の発生が注目を集めました。

それ以降、現在に至るまで、サプリメントの成分と医薬品との相互作用について、いろいろな情報が流されています。

ただし、臨床的意義について、現実的・実践的な議論は多いとはいえず、作用機序からの推測に基づく「理論的な相互作用」の注意喚起や警告が行われていることが少なくありません。

(安全性を担保するという点では意味がないとは言い切れませんが、科学的根拠としてのデータが不十分で、臨床的意義が不明な情報を提供するのは、臨床現場に混乱を生じることにもなります。)



さて、今回の研究では、メイヨークリニックの6つの異なる専門病院にて、1818名の患者を対象に調査が行われ、サプリメントと医薬品の相互作用について解析されました。


その結果、1795名(98.7%)の患者から回答があり、710名(39.6%)がサプリメントを利用していました。

そして、臨床的な有意性が潜在的に示唆される相互作用として、107例が同定されています。

サプリメント側の原因成分として、ニンニク、バレリアン、カバ、イチョウ葉、セントジョーンズワートの5つがあげられており、これらで全体の68%を占めるということです。

また、医薬品側の原因成分では、抗凝固剤、鎮静剤、抗うつ剤、抗糖尿病剤の4種類があげられ、全体の94%を占めています。


ただし、これらはあくまで「理論的な可能性」ということであり、実際には、相互作用による重篤な有害事象は見出されていません。



論文著者らは、

--少数の処方薬とサプリメントが、相互作用の多くの原因を占めている、

--実際の有害事象を生じる可能性は低い、

と述べています。
posted at 23:55 | この記事のURL
抗酸化ビタミン類と心血管予防のネガティブデータ [2007年08月21日(火)]
抗酸化ビタミン類は心血管病変のリスクを減らす効果はなかった、という研究が、内科学の専門ジャーナルに報告されています。
Arch Intern Med. 2007;167:1610-1618.)

栄養療法を検証するための方法がうまく機能しない理由を示唆するデータですので、紹介してみたいと思います。



今回の研究は、「Women's Antioxidant Cardiovascular Study(直訳すれば、「女性の抗酸化剤心臓血管研究」)」と呼ばれています。


対象者は、心血管病変の既往をもち、かつ心リスクファクターを3つ以上有する、40歳以上の女性8171名です。


アスコルビン酸(ビタミンC)を500mg/日、ビタミンEを600 IU/隔日、βカロテンを50mg/隔日投与し、心筋梗塞、脳卒中、冠状動脈再建術、心血管疾患による死亡がアウトカムとされています。

対象者は95/96年から2005年まで、平均9.4年間フォローアップされました。
(2 x 2 x 2 factorial designにより検討。)


その結果、合計1450名が1個以上のアウトカム(心筋梗塞、脳卒中、冠状動脈再建術、心血管疾患による死亡)を生じました。


抗酸化剤の効果に関して、アスコルビン酸(ビタミンC)、ビタミンE、βカロテンのそれぞれを解析した結果、アウトカムの組み合わせ、あるいは個別のアウトカムのいずれでも有意な効果は認められませんでした。


なお、全体では有意差は認められませんでしたが、心血管病変の既往を有する群において、ビタミンE投与による有意な効果(プライマリアウトカムの減少)が示されています。


また、アスコルビン酸とビタミンEの組み合わせ群では、脳卒中の減少も認められています。



以上のデータの結論として、全体としては、ビタミンC/ビタミンE/βカロテンの抗酸化剤は、心血管の既往やリスクを有する女性に対して、効果は認められなかったということになります。



では、抗酸化剤や抗酸化サプリメントは効果がない、ということになるのでしょうか?


この論文も含めて、抗酸化剤を用いた栄養療法では、化学的知見を得るための方法論がうまく機能していないのでは、と感じています。


栄養療法である抗酸化剤を使ったデータがネガティブになる理由として、次のような理由が考えられます。


--検出力不足と交絡因子/個人差

 一般に、医療用医薬品に比べて、抗酸化剤は介入効果が小さいために、被験者の均質性が十分ではないと、有意差が検出されにくいと思われます。

 つまり、化学的合成品で毒性も大きな医療用医薬品では、介入(投与)によって、大きな変化が被験者に生じます。

この介入は、さまざまな種類の被験者の個人差という交絡因子を無視できる大きさになります。



一方、機能性食品成分である抗酸化剤は、その介入効果が小さく、効果が非常に緩やかです。

そのため、個人差(ゲノムやプロテオームに認められるレベルの個人差)などの交絡因子が、栄養関連因子によってもたらされる効果よりも大きいことがあります。


 これが、栄養療法における科学的根拠の構築を困難にする原因の1つです。



--個人差

 現在、私はゲノムやプロテオームを解析する研究も進めています。数年前から、文科省の予算で日本人を対象に、肥満関連遺伝子を見つけるという共同研究を行っています。

 これは、ゲノムに存在する個人差を見出すプロジェクトです。

 それに加えて、いまはプロテオミクス研究も進めています。

 ゲノム以上に、タンパク質レベルでは大きな個人差が見つかります。

 すでに終了した研究では、ある分子標的治療薬(抗がん薬)の副作用について、投与前診断を可能にする個人差が見出されています。

 いま進行中の生薬に関する研究でも、レスポンダー群とノンレスポンダー群では、明らかな個人差がプロテオミクス解析で見つかっています。

 ゲノムやプロテオームレベルで大きな個人差があることはすでに常識ですし、薬が効く人と効かない人がいるのは当然です。


近年、サプリメントの効果についても、SNPsの個人差による効果の有無が報告されるようになりました。


 臨床研究では、年齢や性別、体重、既往歴や家族歴といった要因を調整して、均質になるようにしています。

しかし、プロテオーム解析をしてみるとわかりますが、個人差は非常に大きいものです。

従来のパラメーターだけで均質性を調節した比較試験の場合、実際には、栄養療法の介入効果よりも、個人差による交絡因子による影響が大きく、検出力不足のために研究の結果がネガティブになることが想定されます。


--対策

 対策としては、Omicsにより個人差を考慮した解析方法/研究アプローチを重視することが重要です。

新しいバイオマーカーやアウトカムを設定する必要もあるでしょう。



--抗酸化サプリメントの組み合わせ

 今回の研究ではビタミンC/ビタミンE/βカロテンという組み合わせでした。

 これは、10年以上前に一般化した選択で、当時としては、通常の投与方法です。


 しかし、現在では、ビタミンC/ビタミンE(トコトリエノールを含む)/マルチカロテンという組み合わせが推奨されています。




これまで、抗酸化剤/抗酸化サプリメントについては、さまざまな条件で研究が行われ、いろいろなデータが得られています。

最近では、ネガティブなデータが大きく報道されるようになりました。
(先日のセレンと糖尿病の研究もその一つです。)


その結果、抗酸化剤や抗酸化サプリメントは効果がないといった論調を聞くことがあります。


これは、医療用医薬品/栄養療法/個人差/Omics研究といったキーワードを区別していない議論であり、適切ではないと考えています。


今後、個人差に基づいた抗酸化剤を一律に投与するのではなく、個別化医療/個別化栄養療法の1つとして、抗酸化サプリメントの科学的根拠の構築が急がれます。


つまり、抗酸化サプリメントを、どのようなタイミングで(一次予防か二次予防か)、どのような人々に、どの用量用法で投与すれば、安全性を担保しつつ、有益な効果を得ることが出来るのか、明らかにするための研究です。



抗酸化サプリメントは効くのか効かないのか、といった稚拙な議論はそろそろ終わりにして、個別化医療の視点から、用法用量の最適化や診療ガイドラインの整備を行うための前向きな議論が望まれます。


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