今月の栄養学の専門ジャーナルに、家族性高コレステロール血症患者に対して大豆タンパク質を投与した臨床研究がオーストリアのグループから報告されていました。
(Br J Nutr. 2008 Feb;99(2):281-286.)
大豆タンパク質は、高脂血症改善効果を持つことが臨床研究で示されています。
しかし、その多くは成人患者を対象にした臨床試験であり、若年者への大豆タンパク質投与を検証したデータはあまり知られていません。
そこで、今回の研究では、家族性高コレステロール血症や多因子遺伝性高コレステロール血症を有する小児・若年者を対象に大豆タンパク質の効果が検討されています。
試験では、大豆タンパク質が0.25-0.5グラム/kg体重の用量で3ヶ月間投与されました。
被験者23名で第1相試験が開始され、16名が第2相の大豆タンパク質摂取まで完了しています。
(内訳は男児10名、女児6名、家族性高コレステロール患者13名(男児8名、女児5名)、多因子遺伝性高コレステロール患者3名(男児2名、女児1名)。平均年齢は8.8歳です。)
第2相における大豆タンパク質の摂取によって、総コレステロール、LDL、アポBの有意な低下が認められました。
ただし、HDLやアポA1等には有意な変化は示されていません。
以上のデータから、大豆タンパク質の摂取は、遺伝性高コレステロール血症に対する食事療法として、小児の場合でもメリットがあると考えられます。
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