免疫賦活作用を有するサプリメントに関する調べものをしていたら、UCSF(カリフォルニア大学サンフランシスコ校)の医師による研究データ集に目がとまりました。
慢性消耗性疾患に対する栄養サプリメント療法の研究を行っており、主にHIV患者を対象に、サプリメントを用いて効果が得られているようです。
米国の大手製薬メーカーとの共同研究という形式で、「HIVマクロ栄養研究」を実施し、免疫機能の改善効果が示されています。
このとき利用されたのは、特別な抗HIV治療薬ではなくて、マルチビタミン/マルチミネラル/αリポ酸400mg/カルニチン(アセチル-L-カルニチン1,000mg)/システイン(NAC1,200mg)といったサプリメント成分のパックです。
研究データは、AIDSやJAIDSといったきちんとした専門ジャーナルに発表されています。
(JAIDS 2006;42:523-528)
HIVに対しては抗ウイルス薬による標準治療がありますので、日本や欧米では栄養サプリメントだけというよりは、補完療法としての位置づけになりうると思います。
一方、感染の蔓延が深刻になっているアフリカ諸国では、高価な抗ウイルス薬を待つよりは、今回のような栄養療法にて免疫賦活作用を得ることも選択肢の一つと考えられます。
(一般に、慢性消耗性疾患では栄養状態も良くないことが多いためです。)
しかし、臨床研究を行ったUCSFの医師によると、結局、大手製薬メーカーの協力が得られなくなり、研究が中断してしまった、ということでした。
メガファーマとしては、栄養サプリメントなどの効果を確かめるよりは、高価な抗ウイルス薬を開発し特許取得後に独占販売するほうが、大きな利益につながるというビジネスモデルを優先するのかもしれません。
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