今月の臨床医学の専門ジャーナルに,短期間のヨガと食事介入による肥満改善効果を示した臨床研究が,インドのグループから報告されていました。
(
Med Sci Monit. 2010 Jan;16(1):CR35-40.)
肥満に対しては,適切な運動と食事が推奨されますが,長期間の継続が困難な場合もあります。
今回の研究では,座位での呼吸法を重視するヨガ(ヨーガ)と,ベジタリアン食による肥満への効果が検証されました。
具体的には,肥満者47名を対象に,1日5時間のヨガ療法と低脂肪・高食物繊維のベジタリアン食による介入を行い,前後でBMIやウエストヒップ比,脂質代謝指標などが測定されています。
6日間の介入の結果,BMIの低下(1.6%),ウエストヒップ比の低下,総コレステロール値の低下(7.7%),HDLの低下(8.7%),空腹時血中レプチン値の低下(44.2%)が認められました。
また,姿勢安定性の改善と握力の増強も示されています(全被験者,p<0.05)。
以上のデータから,呼吸法を中心とした短期間のヨガによる強化介入とベジタリアン食による食養生には,肥満に対する一定の改善効果が期待できそうです。
近代西洋医学に基づく肥満治療では,診療ガイドラインが設定されていますが,すべての肥満者が減量できるわけではありません。
伝統医療による介入方法でも,肥満を改善させる効果が知られていますので,EBMの構築という点で興味深いデータです。
特に,ヨガの場合,(一定期間,有資格者/指導者の下でのトレーニングが必要ですが)基本的には自宅で行うことができるという点で,費用対効果が高い方法です。
なお,肥満改善を目的とするベジタリアン食では,炭水化物の質に注意が必要です。
(低脂肪であっても,単純炭水化物の摂取が多くなれば,減量は困難となります。)
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