先日は
お香の原料となる素材を見る機会がありました。
空間に一歩足を踏み入れると、まるで漢方薬局のような匂いが立ちこめ、
おごそかで静穏な雰囲気に満ちていました
左から、大茴香(スターアニス)、桂皮(シナモン)、丁字(クローブ)。
他にも、沈香や白檀(
サンダルウッド)、乳香(
フランキンセンス)、安息香(ベンゾイン)等々・・・
数多くの香原料を粉末にして配合するわけですが、
お香の基本ベースは、椨(タブ)という木の樹皮を粉末にしたもので、
この基材に様々な香原料を加え練り合わせて
お香になります。
たとえば沈香
沈香は593年に淡路島に打ち上げられ、
焚いたところ非常にいい香りがしたために、
聖徳太子が香木の鑑定をされたと『日本書記』に記されています。
この沈香は、漢方薬の処方では万能薬に属し、
強壮・鎮静などの効果があると言われています。
子供の疳の虫
を鎮める薬(奇応丸)の主成分も沈香。
なるほど、
お香を焚くと気分が落ち着くのもわかりますね。
沈香の中でもっとも貴重なものとして伽羅があり、
ベトナムの限られた地域で極少量しか産出されず、
常温でも例えようのない独特の芳香を発します
こういった香りを発する物質が生まれるメカニズムは面白く、
例えば沈香は、木の腐敗が進まないよう分泌された樹脂の層であったり、
白檀は半寄生植物だったり・・・
アロマセラピーでは扱いませんが、動物香料などは顕著で、
竜涎香(抹香鯨の腸内で生成される病的結石)や麝香(牡の麝香鹿の生殖腺分泌物)等々・・・
香りの世界ってちょっとヤバそう・・・
と思われること間違いありません。
まあ、実際そうなんです。
昔からあまたの人々を魅了し、惑わせ、時には狂わせた
香りの世界は、
癒しだけのいい子ちゃんではないのですよ。
この続きはまた・・・